2024/11/23
鉄骨階段のデザインをもっと...
基礎のコンクリートを打設した後、数日養生して型枠を取り外します。そして土台を敷いた後、こちらの建物は剛床構造なので厚合板を敷いて、棟上げと言う段取りになるのですが・・・その間にもやらないといけない事があります。
まずは、床下を通る給排水工事。当然床下なので、土台と合板を敷く前に行わなければなりません。
こちらの写真は、給水管のヘッダー工法と言う配管方法です。従来は枝状に各水場に配管されていたのですが、一度ヘッダーと言う部分に接続され、その後、各水場に単独で配管されていきます。この工法は、従来の工法に比べ各水場で同時に水を使ったときに、水圧が安定している。各水場までの接続部分が無いので、水漏れの心配が少ない&水漏れした場合に、すぐに発見出来る。また水漏れした時や将来メンテナンスが必要になった時に、各水場、単独で配管の交換が出来るなどのメリットがあります。
またこちらの建物は、基礎内断熱になっていますので、基礎立上り部分からの返しにも断熱材を敷かないといけません。
更に今回、こちらの建物では、地震対策として、UFO-Eと言う、減震金物を使用しています。簡単に原理を説明すると、基礎と土台の間に少しスライドする金物を挟み込み、地震の揺れを軽減すると言う金物です。そして300gal以上(深度5程度)の大きな地震が来た時、土台からか上の建物を少しスライドさせて、地震の揺れを軽減させます。この考えって面白くないですか?例えば、今の建築基準法の耐震等級1級では、震度7の地震が来た時、倒壊しない程度の強度です。逆に言えば、震度7が来た時、建物が壊れてもいいから、倒壊しなければOKですよって基準ですね。でも震度4とか5とかが来ても、建物は壊れません。つまり、震度7くらいの地震が来た時に、その地震の揺れを震度4とか5まで軽減させる事が出来れば、建物は壊れないと言うことです。
確かに、一番地震の揺れを抑えるのは、基礎に特殊なゴムを使う免震構造です。しかし、やはり価格がメチャクチャ高いのと、メンテナンスが必要であることなどを考えると導入はなかなか難しい。また筋交い部分に特殊な金物やダンパーを使う制振部材もありますが、結局建物が変形してから効果が出るものなので、出来れば、建物を揺らさないのが望ましい。
そこで、熊本地震の時、建築中の建物で、このUFO-Eを使っていた物件では、一番地震の揺れが強かった地域でも、作業棚から荷物が落ちなかったと言う話を聞き、採用する事にしました。
まあ、建物自体も耐震等級3の建物ですし、比較的地震の少ない地域でもありますので、転ばぬ先の何とかって感じですね。でも、南海トラフも予想されていますし、実際には、いつ大地震が起こるかなど、今の科学技術では誰も100%正確なことは言えないので、対策をとる事自体は、やぶさかでないと思います。
また、こちらの建物では、床下空間を給気に利用する澄家と言う1次換気気システムを採用しました。なぜこの澄家を採用したのか?色々と理由はあるのですが、一言で言うならば、床下空間を利用することにより、給気側の配管が必要ないと言う事で採用しました。これは、一般的な一次換気システムの場合、給気と排気の配管を所定の場所に配管しなければならないのですが、澄家の場合は床下に給気を行い、その給気された空気が床に設けられたガラリを通して、室内に送られてくると言うシステムです。
それならば、なんで給気側の配管が無いのが良いの?と言うことですが、それはもし給気側の配管内部にゴミが溜まったり、カビが生えると言う事が起きた場合、いったいどうやって対処すれば良いのでしょうか?床下の場合、最悪、点検口や和室から床下に入って掃除も出来ます。でも、壁内を通っている配管の場合、掃除はおろか、交換さえ難しいと思います。その様な事を考えた結果、この澄家を採用する事にしました。
この作業を行いながら、ようやく土台を敷いて、厚合板を敷く事ができます。
ここまでの作業を土台敷と同時進行させながら行うのは、なかなか大変です。
特に今回は雨に見舞われることが多く、作業を行っていたら雨が降り始めシートで覆い、また晴れてきたらシートは外し作業を始める。そうしているうちに、また雨が降り始めと言う事が何度も繰り返され、本当に大変でした。
その後、床合板まで敷いた後、養生を行い、棟上げに必要な一階部分の材料を先に運び込んでおいて、ようやく棟上げ日を迎える事が出来ます。
あっ、今は先行足場が必要ですので、棟上げの日までに、足場も組んでおかないといけませんね。
それでは次回より、躯体編に入って行きたいと思います。
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