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脱衣所には寒さ対策が必要?

脱衣所には寒さ対策が必要?

旭化成建材が2月13日に発表した「住まいの温熱環境の実態と満足度調査」では、冬季に「脱衣室で寒さを感じている人」の割合は40.9%だったそうで、そのうち71.9%が「寒さ対策をしていない」と回答したそうです。

2月11日、プロ野球で戦後初の三冠王に輝いた名キャッチャーで、監督としても日本一に3回輝いた野村克也氏が虚血性心不全のため亡くなりました。

現在43歳の私には当然現役として活躍していた時代は知らないのですが、ヤクルトスワローズの監督になりID野球を世に広め、就任3年目にしてリーグ優勝、4年目には日本一に輝き、同時代にヤクルトの選手として活躍していた古田、池山、広沢、栗山選手などは、特にヤクルトファンでもない私でも、はっきりと覚えています。

その名選手であり、名監督であった野村氏が2月11日、浴槽でぐったりしている所を家政婦に発見され、119番通報されるも、残念ながら帰らぬ人となってしまいました。

そしてこの直接の死因となった虚血性心不全とはいったいどんな病気なのでしょうか?

心臓の周りには、心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を送っている冠動脈という太い血管があります。この血管の内側に、コレステロールなどが溜まって血液の通り道が狭くなることを動脈硬化といいます。動脈硬化が進んで、血管の内側が狭くなったり、コレステロールなどの固まり(プラーク)が破れて、血管の中に詰まったりすると、心筋に十分な血液が行き渡らなくなり、心筋が酸素不足(虚血)の状態になります。こうした疾患は「虚血性心疾患」と呼ばれ、代表的なものに、狭心症や心筋梗塞があります。

もちろん動脈硬化が進む原因は普段の生活習慣によるところが大きいのでしょうが、コレステロールの固まり(プラーク)が破れて血管の中に詰まる原因の一つが、ヒートショックによる急激な血圧の変動だと思います。

冬季に室温の低い脱衣所に入り、服を脱いでお風呂に入ろうとすると、急激な温度変化により血管が収縮して血圧が上昇します。その後、浴槽のお湯の中に入ると血管が拡張され一気に血圧が下がってきます。

この様な温度差による血圧の急激な変化(ヒートショック)により、心筋梗塞、脳梗塞などで亡くなる方が年間約17,000人に達すると言われています。現在、自動ブレーキや衝突時の安全性の向上により交通事故で亡くなる方は年々減り続け、年間の交通事故での死亡者数は約4,000人だと言われています。それに比べ、4倍以上の人がヒートショックにより亡くなっていると言う事ですね。

この様に浴室のヒートショックの話をすると、すぐに断熱改修をしてどうのこうのと言う話になりますが、断熱改修を行うには予算もかかりますし、非常に手間もかかります。そこで、まずは手始めに出来る事から始めてみたらいかがでしょうか?

例えば、浴室暖房機などが設置出来れば良いですが、まずは脱衣所にセラミックファンヒーターなどの簡易な暖房器具を置いて、お風呂に入る前に脱衣所を温めてみるとか、浴室にお湯を貯める時、熱めのお湯をシャワーからだしてお湯をはり、浴室内を同時に温めるとか、服を脱ぐときは下着の状態で温められた浴室内に入り、そこで下着を脱ぐとか、なるべくお金を掛けずにヒートショックを防ぐ方法もあります。さすがに東北や北海道ではこの方法では難しいかもしれませんが、そもそも東北や北海道では住宅の高断熱化が進んでいますし、ヒートショックで亡くなる方は、寒さの厳しい地方よりも温暖な近畿、中国、四国地方などに多いと言う現実もあります。

前記の野村克也氏ですが、以前、解離性大動脈瘤と言う病気を患っていらっしゃいました。この様に心臓に持病をお持ちの方は、特にこのヒートショックには気を付けておいた方が良いそうです。

もちろんこの度の野村氏が亡くなった詳細な状況は分かりませんが、ひょっとしたら虚血性心不全による突然死と言う最悪の状況は、避けられたのかもしれませんね。

謹んでご冥福をお祈りします。

 

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