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熊本地震で気になること

2016年4月14日に熊本県熊本地方を震源として発生した、平成28年熊本地震で被害を受けられた皆さま、ならびに全国のご親族の皆さまに、心よりお見舞いを申しあげます。

 

先日、新建ハウジングと言う建築の業界新聞で熊本地震の被災地で、気になる記事がありましたのでご紹介させていただければと思います。

記事のタイトルは「築浅の倒壊原因に柱の引き抜け 接合部の不備を指摘」と言うタイトルでした。この記事を書いたのは木構造の専門家で住宅の耐震性能に詳しいエムズ構造設計(新潟市)の佐藤実氏が、現地の熊本を訪問して書いた記事です。

〃現地で佐藤氏が注目したのは、地盤がそれほど悪くないエリアでの築造後10年以内(築浅)と見られる住宅の倒壊だ。周りの明らかにそれより数十年は古い住宅が立ち残る中、まだ新しい建物の1階部分が抜け落ちたように無残に潰れている光景は、いやでも目を引く。壁量の確保(壁量確保)や壁配置のバランス(四分割法)や柱頭柱脚の接合方法(N値計算)と2000年に耐震基準が強化されたことを考え合わせれば、隣り合う住宅で基準以前のものが残り、以降のものが倒壊しているのは異常な状況だ。〃

〃安全確保のため、倒壊建物への立ち入りは許されないものの、間近で築浅倒壊の状態を確認した佐藤氏は「明らかに計算や施工に何らかの問題があったと言わざるを得ない」〃

〃住宅の基礎や土台がほぼ無傷で残り、アンカーに引っ張られた形跡が無いことから、築浅倒壊の原因を「一階の柱が土台から引き抜けてしまったことによるもの」とする。〃

では、なぜ柱が抜けてしまったのか?「詳細な調査をしていないため断定はできない」としながらも、例えば出隅部になければならないホールダウン金物が見当たらない点などを挙げ、「適切な位置に金物が設置されていない。N値計算をしていなかったのではないか」

と言う記事が書かれていました。2000年基準以降、壁量計算、四分割法、N値計算は必須ですが、四号特例(木造2階建て、500㎡以下)の建物では計算を必須としながらも、確認申請での計算書の提出義務がなく、適合審査もありません。その為、以前から「四号は計算しなくてもいいと言った誤解が広がり、経験と勘任せの設計や施工がまかり通ってきた」「実際に四分割法やN値計算を知らないという人も少なくない」と佐藤氏は実態を明かします。

弊社では金物の配置等は、もちろんすべてN値計算を行い、決定しております。

例えば、長期優良住宅の認定を受ける場合は、耐震性能も関係してきますので、認定機関も図面上の金物の配置を確認してN値計算を行い、また建築中の建物でも金物の検査を行います。

しかし、2000年から義務付けられている10年間の瑕疵担保責任保険では、金物の検査は建築中の現場で、図面通り金物が配置されているかどうかの検査しかなく、N値計算等の細かなチェックは行われません。

弊社の地元山口県でも南海トラフ地震が起これば、少なからず影響を受けるでしょう。その時、長期優良住宅でなく、N値計算も行われていない建物では、この熊本の事例と同じような事例が起こってしまうかもしれません。

この熊本地震の影響で、建物の耐震性能に関する規定も変更する動きもあるようです。最近はとかく建物の断熱や気密の事が取り上げられる事が多いですが、まずは災害からお施主様の命と財産を守る確かな構造があってからの話しだと思います。また図面上は確かな構造の建物でも、実際の施工が伴わなければ何の意味もありません。弊社では、お客様により安心していただける家づくりを行うため、日本匠倶楽部 NPO法人地の家ネットが行う、安心家づくり支援制度を無料で利用できるキャンペーンを行っております。ご興味がおありの方は、こちらをご覧ください

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