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日本の住宅とCO2の話 その2

日本の住宅とCO2の話 その2

前回のブログの続きです。

前回、ヤフーニュースで掲載されていた記事の内容で建物の省エネや断熱についてのお話しをさせてもらいましたが、今回はその記事の中にある耐震性や耐久性の話をしたいと思います。

この記事の中で欧米では築100年の建物が普通に売られているのに、日本の建物は耐震性や耐久性が低く、30年も経過するとかなり劣化してくると書かれています。

事実、戦後の建物は平均約27年で取り壊されており、スクラップ&ビルドが繰り返されていると言われています。

さらに記事の中ではコスト削減を最優先した結果、このような事態に陥っていると書かれています。ただ、コスト削減と言うとローコストの住宅だけが約27年で取り壊されていると言うイメージがなんとなくしますが、この約27年で取り壊されている建物には一般的に価格が高いと言われているハウスメーカーの建物も含まれているのを忘れてはいけません。

しかし確かにこの耐震性が低いと言う所は、非常に大きな問題だと思います。例えば、国の方針としては人口が減少して行くこれからの時代、空き家問題もあり中古住宅のリフォーム市場を活性化していきたいとの考えがあります。それなのに中古住宅を買ってリフォームして暮らそうと思っても、耐震性能が低い為に大掛かりな耐震リフォーム工事が必要となり、結果、中古住宅を購入してリフォームするのも、新築の住宅を購入するのも費用があまり変わらないと言う事になってしまいます。こんな事ならば、わざわざ中古住宅を購入してリフォームするよりも、多少高くても一生暮らす家なら、新築住宅を考える人の方が多いと思います。

また、国の税制にも大きな問題があります。税制上、法定耐用年数は木造住宅は22年、軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm超4mm以下)は27年、鉄筋コンクリート造は47年とされています。これはあくまで税法上の耐用年数ですので、もちろん22年経てば木造の建物は住めなくなると言う事は絶対に無いのですが、それでも中古住宅を売却しようとした場合、多くの木造住宅は築25年くらいになると建物価値はゼロとして扱われるでしょう。

この実際の建物の価値と税制上の耐用年数の差は大きな問題だと思います。

欧米では築年数が30年であろうと、50年であろうと、キチンとメンテナンスされた建物には価値が下がらないと見られ、さらに景気が上昇すればそれに伴い建物価値も上昇すると思われています。まあ、その考えが過剰に煽られて、リーマンショックのような事件も起こってしまったのですが・・・。

日本でも、しっかりとした耐震性のがあり、キチンとメンテナンスしている建物は、価値があると言う考えがあれば、建物のメンテナンスに対する考え方も変わって来ると思います。

例えば、今までの考え方では中古住宅を買ってリフォームすれば、建物の固定資産税は古い建物のままだからお得だ!と考える人がいますが、逆に考えると何百万払ってリフォームしても、その建物の価値はゼロだと言われているようなものですからね。

やはりこれからの建物は断熱性能や省エネ性も大切ですが、耐震性や耐久性も非常に重要な事だと思います。CO2排出や循環型の社会と言う観点から見ても、日本の建物は最低でも60年は持たなければいけません。なぜなら日本では植林した木が家を建てる建材として使用出来るまで成長するのに60年かかるからです。もし地元産の木材を使用して家を建てたと同時に植林すれば、60年後に建て直す時に成長した木材を使用する事が出来ます。更に、木は成長する時に一番CO2を消費するので一石二鳥ですね。これがホントの持続可能な循環型社会だと思います。

この様な社会の実現の為にも、長く使える家と言う意味での長期優良住宅、CO2削減と地域貢献の為の地元産の木材の活用、建物の価値を正しく見極める税制の改革などが必要になると思います。

最近は特に住宅の断熱性能や気密性能が取り上げられる事が多いですが、やはり耐震性た耐久性と言う所は、建物を長く使用するにも大切な所です。どんなに高断熱・高気密で冬暖かく、夏涼しく、省エネでも一度の地震で壊れてしまえば全く意味のないものですからね。

 

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