2024/11/19
家の内装を黒色でつくりたい...
今年完成した住宅の始まりからのエピソードである。
「○○です。お久しぶりですが、お元気ですか?
実は、ガスコンロをIHヒーターに変えようかと思っています。
ついでに水回りのリフォームも考えているので、相談にのってもらえませんか?」
「お世話になります。ご無沙汰をしています。
厳しい社会情勢の下で生き残るために、心身共に健康でなければと、
毎朝ジョギングをしています。ですから体調はいたって良好です。」
2003年5月、知人から久々のメールが届いてプロジェクトは始まった。
その後、久しぶりの再会と打ち合わせが行われた。
奥さんのご要望はコンロの取替えだけに止まらず、使い勝手に関する不満が数点出てきた。
その一つ一つの理由に耳を傾けると、現在の住宅で対応するには難しい事が明らかとなった。
住宅は、単に台風や地震に強いというだけでなく、良好な室内環境を保ち、周囲の環境も含め、ライフスタイルに沿ったものでなければならない事。
また、年齢<45才>を考えればこれからの40〜50年の人生において、
家への愛着が持続できるものでなければならない事を、話させてもらった。
その結果、現在住んでいる住宅を売却し、他の場所に建て替えることとなった。
土地を探すにあたり、山や川・海・あるいは街中、『住みたい場所』を絞ることを提案し、海の見える土地を前提に海岸沿いを探す日々が始まった。
海が見えて住宅が建てられる環境、それを取得できる土地を探すのは困難を極めたが、望みを叶えるかすかな光が見えたのは、初回の打ち合わせからすでに一年が経過していた。
その場所は農業振興地域内にあるため、売買するには大変難しい土地であった。
それでもご夫妻の土地取得への情熱は熱く、地主さんや役場の方の協力を得て2年を費やしながらも、土地売買の契約・農地転用に至った。
その後、宅地の造成と設計を併進させ、建築に取り掛かったのはメールのやり取りから3年半経った2006年10月であった。
土地を探すことから始まったこのプロジェクトは4年もの歳月を費やしたが、地元産の良質な杉と檜、壁には土佐和紙を使用した、まさに『自然と地産地消』をテーマに造られた住宅が完成した。
平屋・畳の多用・日当たり風通しの良さ・周りの自然・家庭菜園の確保、なによりも160度パノラマの海が眺められること、海をテーマに朝日や潮風の大自然、対岸の夜景を満喫し、薪ストーブを囲むスローライフが今 始まったのである・・・。
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