四十路工務店営業マン(本厄)の自宅建築日記 その⑭ 『断熱材のお話』

季美の住まい株式会社

スタッフブログ



四十路工務店営業マン(本厄)の自宅建築日記 その⑭ 『断熱材のお話』

2017年 05月 09日 (火)

最近、首と右肩が痛くて、ついに四十肩がやって来たのではないかと、ビクビクしている灘本です。

4月29日(土)30日(日)に構造&断熱勉強会を、現在建築中の自邸で開催いたしました。

この構造と断熱のお話しですが、構造も東北の震災や熊本の震災の影響で再度重要視されていますし、断熱もヒートショックの問題やゼロエネ住宅の件で、今非常に重要視されています。

でも、どちらの話も非常に難しく、なかなかすぐに理解する事が出来ません。そこで、前半は資料を使って現在の構造や断熱における世の中の流れや、一般的な工法を説明させていただき、個々の詳しい話や疑問は実際の建物を見学していただきながら、質問に答えると言う勉強会にさせていただきました。

それでも構造と断熱の話は、詳しく話すとキリがないので、割と速足で説明させていただきましたので、うまく伝わったか非常に心配な所もあります。

こちらの建物についての構造の事は、ちょこちょこ書いていますので、今回は断熱について少し書いていこうと思います。

まず、大前提としてこの建物はHEAT20と言う規格のG1グレードを達成する事を目標に断熱の仕様を考えました。

上の図の0.6とか0.48とか書かれているのは、UA値(外皮平均熱貫流率)と呼ばれるもので、住宅の断熱性能を表し、数値が小さいほど性能が高いことを表しています。各部位から逃げる熱損失を合計し、外皮面積で割って求めます。

一番上の断熱水準とは地域によって決められており、1地域2地域は北海道や東北の寒さの厳しい地域、数字が増えるほど温かい地域になっていき、8地域は沖縄になっています。地元岩国の大半の地域は5地域に区分されている為、この建物は5地域のHEAT20G1グレードの規格である、UA値0.46を超える事を目標に断熱方法を選択しました。ちなみに最近は一般化してきた長期優良住宅ですが、同地域ですとUA値0.87、ゼロエネルギー住宅(ZEH)ではUA値0.6以上で、更にH25年基準(長期優良住宅の基準など)から20%以上の一時消費エネルギーの削減が義務付けられています。

そして、断熱の工法と仕様を決定する為、今まで一般的な断熱材や羊毛などの自然素材を使用してきましたが、再度、かなりの時間をかけて様々な断熱材を検討しました。

その結果選んだのは・・・

壁内の充填断熱は高性能グラスウール16㎏

壁の外側に付加断熱として高性能グラスウール32㎏

屋根はネオマフォーム100㎜

基礎立上り及び基礎スラブ下には防蟻ESP断熱材60㎜

これらの断熱材を選択したのは、すべてに理由があります。

でも、これらの断熱の仕様を見て、多くの方が気になるのは壁のグラスウール断熱材ではないでしょうか?

グラスウールって、カビが心配だとか、湿気を吸って垂れ下がってしまうとか、あまり良くないイメージがあると思います。でも、本当にそうなのでしょうか?今回の断熱材を選ぶにあたって、本当に時間をかけてじっくりと検討しました。その結果出た結論・・・

『どんな断熱材でもメリットとデメリットがある。今現在、この断熱材を使っていればすべてO.Kと言える断熱材は存在しない。その為、重要なのは断熱材のデメリットを理解してどの様な対応をしているかと正しい施工が出来ているか』

これに尽きると思います。どんな断熱材でも湿気を吸ったり、縮んだり、劣化したり、隙間が出来たり、潰れたりと言うデメリットがあります。もちろんメリットもあります。そのデメリットをどうカバーするのかが重要だと思います。

当初、私もグラスウールに対しては、良いイメージは持っていませんでした。ネットでグラスウール・カビなんてワードで検索すると、酷い画像がいくつも出てきますし・・・。でも、これらの画像の家って、いつ頃建築された建物なのでしょうか?現在の建物は壁内の湿気を排出する通気層もありますし、床下の冷たい空気が壁内に侵入する事を防ぐ、気流止めと言う考えもあります。また、室内の湿気を吸ったり吐いたりする吸放湿性能を持った建材もあります。他にも室内側の防湿シートもありますし、防湿シートに包まれたグラスウールもあります。それでも、昔みたいに結露して、カビが生えるのだろうか?今の技術でしっかり施工すれば問題ないのではないか?環境先進国と言われるドイツやスイスでも60%以上の物件でグラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材が使用されているのは、なぜだろうか?

また、それと同時に建物の開口部の問題もあります。実は窓などの開口部の大きさと性能によって、UA値は大きく変わってきます。よく超高断熱・高気密を謳っている建物で、開口部が小さく、いかにも室内が暗く、開放感が全くない建物がありませんか?例えば、非常に寒くて、日照時間が短い地域や、大都会のど真ん中で、日も当たらないし、窓なんで開けて生活できないと言う地域なら、それでも構わないと思います。

しかし、ここ瀬戸内地域は冬でも比較的温暖で、日照時間も多く、非常に恵まれた自然環境だと思います。それならば、断熱性能を上げると共に開口部を広く取り、冬でも日差しを多く取り入れる事によって、温かく快適な生活を送る事が出来ます。また春や秋、初夏や初秋のシーズンには窓を大きく開け、風を取り込む事により、パッシブで快適な生活を送れます。

日本は南北に長く、北と南では3000㎞以上も離れており、気候も全く違います。その様な地域差があるのに一概に高気密・高断熱だけにこだわって、開口部を小さくした建物で、本当にいいのでしょうか?

ちなみに岩国市には、岩国空港があり、この空港は天候による欠航が日本一少ないそうです。更に岩国には米軍基地がありますが、歴史を辿ると米軍基地の前は、旧日本海軍の飛行場でした。何が言いたいかと言うと、古くから飛行場があったわけですけど、それは温暖で気候が良く、天候が荒れる事が少ない為、飛行場として昔から利用される程、気候に恵まれている地域だと言う事です。但し、真夏の夕方、瀬戸の夕凪と呼ばれる蒸し暑く、風の吹かない時間帯だけは勘弁して欲しいですが・・・

少し長くなってしまったので、次回に続きます。次回はなぜこの断熱材を選んだのか、具体的に書いていこうと思います。